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第12話 ネパールで覚えた、何者でもないまま居ていい場所があること
ネパール
――何も持たなくても、居場所がある国
カトマンズの朝は、
埃と線香の匂いが混ざっている。
犬が道の真ん中で寝ていて、
車がそれを避けて通る。
誰も起こさないし、
邪魔だとも思っていない。
山に囲まれたこの国では、
天気も予定も、
思い通りにならないことが多い。
停電もあるし、
道も急に塞がる。
約束の時間に来ないことも普通。
だからなのか、
人はあまり先の話をしない。
今日できることをして、
できなかったら、
それはそれ。
ネパールの人たちは、
自分のペースをよく知っている。
急がないし、
比べない。
ここでは、
何者かになっていなくても、
ちゃんと存在できる。
女風の現場でも、
役割や肩書きを外したまま、
一緒にいられる時間がある。
施術では、
何かを背負ったまま来なくていい。
そのままの状態で、
隣にいられたら十分だと思っている。
たけと




