女風をテーマにした漫画をきっかけに
実際に予約に至った方も
中にはいらっしゃいます。
それだけ多くの人の心を動かす
影響力のある作品なんだと思います。

でも、僕とお客様で紡いできた
“秘密の花園”のような世界観とは、
少し異なるなと感じました。

その漫画は、
とてもリアルに描かれていました。
現場の空気感やセラピストの揺らぎ、
体格差を活かした
「圧迫からの解放」や
ハグによる安心感の演出など、
自分にも心当たりのある描写が
たくさんあって、
思わず初心に立ち返るような
気持ちにもなりました。

けれど、読み進めるうちに、
どうしても、
胸に引っかかる違和感が残りました。

女性からのおねだりやこじらせが
何度か描かれていて、
「あぁ…なんだかなぁ」と
思わずにはいられませんでした。

確かに、耳にするような内容も
あったかもしれません。
しかし、そればかりを繰り返し
切り取って見せることに、
どんな意味があるのか？
誰のためのリアルなのか？と、
自問せずにはいられませんでした。

日常に戻った時、ふと、
胸を温めてくれるような思い出。
やさしさに包まれて、
「来てよかった」と
心から思ってもらえるような時間。
僕が見てきたのは、そういう世界です。

だからこそ、
「リアルを描く」と言うなら、
誰かを傷つけず、
誰に寄り添うものかを考える余白も
必要なのではないかと思いました。

漫画という表現を通して、
誰かが少しでも
“誰かに触れたくなる気持ち”を
思い出すなら、
それはきっと素敵なきっかけだと思う。
けれど僕は、
冷やかしやエンタメとして
消費される“リアル”よりも、
静かに心に残るやさしさのほうを
大事にしていきたい。

そんなふうに思った夜でした。

＊ 広臣 - HIROOMI - ＊