施術が終わったあと、ベッドの上で向かい合う。
掛けたタオルの端をくしゃっと握って
なぜかちょっと照れた顔。
空気がふわっとゆるむ。

「めっちゃよかったけど
途中のあの話が気になってる」
え、そっち？って笑いながら
さっきのどうでもいい雑談を思い出す。
さっき言いかけてたラーメン屋の話。
“濃いのに重くない”って意味わかんないって言われたやつ。

ここからなぜか、施術の感想じゃなくて、
人生レベルで美味しかった麺の話に発展していく。
お互いの肌でベッドシーツの冷たさを感じながら
ラーメントーク。
誰がこの光景を想像できただろう。

そのあとも止まらない。
初恋の話、部活の話、酔ってやらかした話。
ベッドの上なのに
居酒屋のカウンターみたいな会話。
でも、それが妙に心地いい。

笑いすぎて、枕に顔を埋める。
「ほんとにマッサージしてた人？」って言われて
「してたし！」ってツッコむと
また笑いがこぼれる。

“癒される”って、静かなだけじゃない。
こうやって
素のまま笑えることも大事なんじゃないかと思う。
誰にも見せてない表情が、ここにはある。

タオル越しに手を握って
「なんかいい夜だね」って、ポツリとつぶやく声。
うん、たぶんそれが全部だと思う。

笑って、緩んで、ちゃんとほぐれて。
帰る頃には、顔も声もやわらかくなってる。
マッサージだけじゃ届かないところに、届く時間。

帰り際の「また絶対くるわ」って言葉より
その笑い顔の方が、なにより嬉しい。

よっくんのお部屋︎
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